健康格差是正とデジタルヘルスリテラシー向上に向けてJaDHAが産学官連携プロジェクトを始動

2025.03.19 トレンド

日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)は、健康格差の是正とデジタルヘルスリテラシー向上を目指す新プロジェクトを2025年1月より開始しました。このプロジェクトには、AI食事管理アプリ「あすけん」を開発・運営する株式会社askenがリーダー企業として参画しています。プロジェクトではビジョンペーパー「デジタルヘルスリテラシーへの配慮を通じた産業振興と社会課題解決の両立」を策定し、デジタル技術を活用した健康・医療サービスの恩恵を誰もが受けられる社会の実現を目指しています。

デジタル技術の普及により、健康情報へのアクセスは容易になりましたが、同時に情報の正確な理解と適切な活用が課題となっています。このプロジェクトは、日本人のヘルスリテラシーが国際水準と比べて低いという指摘や、デジタルデバイドによる健康格差拡大のリスクに対応するものです。JaDHAは大阪・関西万博での活動報告を予定しており、様々な主体との協働を通じて健康格差の是正とデジタルヘルスリテラシー向上に貢献していく方針です。

デジタルヘルスリテラシーの向上はなぜ今重要なのか

デジタルヘルスリテラシーとは、デジタル技術を活用して健康情報を収集・理解し、意思決定や行動に活用する能力を指します。近年のデジタル化の進展により、世の中には多様な健康情報が散在し、私たちがそれらの情報と接する機会が大幅に増加しています。例えば、特定の症状に悩む人々が健康情報サイトで治療情報を調べたり、SNSで同じ悩みを持つ人々と情報交換を行ったりすることが日常的になっています。

また、オンライン診療などの普及により、医療従事者と直接コミュニケーションを取る機会も増えています。このような環境変化により、「自らが情報を調べ正しく理解し見極めながら、より良い行動を自ら選択する」という能力の重要性が高まっています。同時に、ヘルスケア業界においても、デジタルヘルスリテラシーに配慮したサービスの開発・提供の重要性が認識されつつあります。

デジタルヘルスの恩恵を誰もが享受できる社会を目指して

デジタルヘルスサービスは、遠隔診療や健康管理アプリ、ウェアラブルデバイスなど、様々な形で私たちの生活に浸透しつつあります。しかし、これらのサービスの恩恵を十分に受けられていない人々も多く存在します。特に高齢者や障害を持つ人々、デジタル機器の操作に不慣れな人々などは、デジタルデバイドによって健康サービスへのアクセスに格差が生じる可能性があります。

JaDHAが推進するプロジェクトでは、こうした健康格差の是正を目指し、誰もがデジタルヘルスの恩恵を享受できる社会の実現に向けて取り組んでいます。具体的には、生活者のデジタルヘルスリテラシーを高めるための啓発活動や、サービス提供者側のリテラシーへの配慮を促進する活動を展開します。例えば、分かりやすい表現の使用や、デジタルに不慣れな人々でも容易に利用できるインターフェースの開発などが含まれます。

また、順天堂大学大学院の福田洋特任教授は「国民のデジタルヘルスリテラシーの底上げはますます重要になる」と指摘し、「ヘルスリテラシーが確保・維持・向上の機会が与えられることは基本的な人権の一種」と述べています。東京科学大学の仙石慎太郎教授も「デジタルヘルスサービスの適切な普及には、デジタルヘルスリテラシーの向上が不可欠」と強調しています。

デジタル時代の健康格差をどのように解消していくのか

デジタル技術の急速な発展に伴い、健康・医療分野においても革新的なサービスが次々と登場しています。しかし、これらのサービスが社会全体に均等に恩恵をもたらすためには、デジタルデバイドの解消と情報格差の是正が不可欠です。JaDHAのプロジェクトでは、産学官連携のアプローチにより、これらの課題に対する包括的な解決策を模索しています。

健康格差の解消には、単に技術的なアクセスを提供するだけでなく、利用者が情報を正しく理解し活用できる能力を育成することが重要です。日本のヘルスリテラシーが国際水準と比べて低いという現状を踏まえ、JaDHAは教育プログラムの充実や情報発信の強化を通じて、デジタルヘルスリテラシーの向上を目指しています。

また、企業側にも大きな役割が期待されています。サービス提供者は、利用者のデジタルヘルスリテラシーに配慮した製品開発や情報提供を行うことで、健康格差の解消に貢献することができます。askenをはじめとするプロジェクト参加企業は、自社のサービスを通じてこのような取り組みを推進しています。

人と技術が自然に融合するデジタルヘルスの未来

デジタルヘルス技術は、単なる道具や便利な機能としてではなく、私たちの日常生活や健康管理に自然に溶け込む存在へと進化しつつあります。JaDHAのプロジェクトでは、このような技術と人間の自然な融合を促進するための取り組みを展開しています。

例えば、AI食事管理アプリ「あすけん」は、ユーザーの食事記録を分析し、個人に最適な栄養アドバイスを提供することで、健康的な食生活をサポートしています。このようなアプリケーションは、専門知識がなくても質の高い健康管理を可能にする一方で、利用者が情報を正しく理解し活用するためのリテラシーも求められます。

デジタルヘルスリテラシーの向上には、技術的な知識だけでなく、批判的思考力や情報の質を見極める能力も必要です。JaDHAは、利用者がデジタルヘルスツールを効果的に活用できるよう、分かりやすいインターフェースの開発や、情報の信頼性を担保する仕組みづくりを推進しています。また、医療従事者のデジタルリテラシー向上も重要な課題として認識されており、医療現場でのデジタルツールの適切な活用を支援する取り組みも行われています。

持続可能な健康社会の実現に向けて

JaDHAのプロジェクトは、デジタルヘルスリテラシーの向上を通じて、健康寿命の延伸や労働生産性の改善といった社会的課題の解決を目指しています。デジタル技術の活用により、予防医療の強化や健康管理の効率化が期待される一方で、技術の恩恵を享受できない人々が取り残されないような配慮も必要です。

今後、JaDHAは大阪・関西万博での活動報告をはじめ、様々な場でプロジェクトの成果を発信していく予定です。また、勉強会や啓発活動を通じて、デジタルヘルスリテラシーの重要性に関する理解を広めていきます。

健康格差の是正とデジタルヘルスリテラシーの向上は、単に技術的な問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題です。産学官連携により、多様な視点からの取り組みが進められることで、誰もが健やかに生活できる社会の実現に近づくことが期待されます。

最終的には、デジタルヘルスリテラシーの向上により、個人がより主体的に自らの健康を管理し、必要に応じて適切な医療・健康サービスを選択できる社会の実現が目標です。JaDHAとaskenをはじめとする参画企業の取り組みは、その重要な一歩と言えるでしょう。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000171.000058653.html

Organizer

Yukey
YukeyCatalyst & Director
セールスマーケティング、エンジニアリング、デザインのすべての業務経験をもち、ベンチャー企業特有の僅少リソースでの事業立ち上げに強みを持つ。活用できるナレッジを組み合わせて戦略を練り、自らサービスデザインを行うことで、初期顧客を開拓する。ビジョン経営にも知見があり、社内の制度設計や組織開発、チームの素質を活かした巻き込み型のリーダーシップを武器に、内外の改革を推進する。2022年、国内ビジネススクールにてMBA取得済み、2025年、国内理系大学院にて技術経営課程在籍。